2024年/89分/ドキュメンタリー映画 監督:飯田基晴
2021年に横浜で始まったOUTBACKアクターズスクール。精神疾患を持つ人たちが、自らの実体験を盛り込んだ演劇公演に挑む、その過程に密着した。メンバーの豊かな個性がそのまま劇中のキャラクターとなり、それぞれの困難な人生が、ユーモアに反転されて物語へと紡がれる。公演が近づくにつれ、緊張から体調を崩すメンバーも現れる。舞台というフィクショナルな空間に各々の人生が凝縮され、演劇はドキュメンタリーへ変容する。
撮影:飯田基晴 常田高志 土屋トカチ
編集:飯田基晴
監督:飯田基晴
製作:映像グループ ローポジション
助成:横浜市地域文化サポート事業・ヨコハマアートサイト2022
コミュニケーションに苦手意識を持つことの多い精神障害当事者にとって、演劇は他者と関わる練習になります。失敗をしてもやり直せるし、失敗から気づきを得たり、面白い場面が生まれることもあります。スクール生たちの中には、病を経ることで、例えようもないほどの苦しみや葛藤を抱えてきた人も少なくありません。ですが、その経験故に得た生き抜く強さ、知恵、豊かな人間性があると思っています。そうした個性を演劇という装置で解き放った時、魅力的な姿とともに、多くの人の心に響く表現が誕生すると考えています。
中村マミコ(OUTBACKアクターズスクール校長)
OUTBACKアクターズスクールの第1回公演の映像を観た時、演じるメンバーたちの存在感に心奪われた。僕の目にはまるでドキュメンタリーとして映った。このリアリティはなんだ? 引き寄せられるように活動を撮り始めた。
自らの人生とそれを演じる身体が重なり合う時、まばゆいほどに人間存在が立ち上がる。
この光が、あなたの眼にも届いたら嬉しい。
飯田基晴
舞台に立つ。姿は客席から丸見え。何を感じ、考えているかまで伝わってしまう。怖い。しかし、そこに立つOUTBACKは輝きを放つ。私を魅了する。一人ひとりの表情、声、言葉のなかに私がいる。空疎な決まり文句を繰り返す精神科医はもちろん私だし、仲間はずれにされた子供、いじわるな上司に苦しむ部下、ひとりぼっちで幻覚と妄想に苛まれるのも私。その私のこころが開く。OUTBACKの活動が始まった時、誰かこれを撮って映画にしてくれと思った。その願いがかない、とてもうれしい。
くるみざわしん(劇作家・精神科医)
心の病や知的障がい。この方々は、社会からも医師からもレッテルを貼られ、自分自身を見てもらえず、一体どれだけ傷ついてきたのだろう。彼女・彼らが自身の傷をなぞるように舞台をつくるとき、レッテルなど寄せつけない命の姿を見せて輝きだす。映画が映しだすその過程自体が、楽しくてスリリングだ。笑っていても、笑っていなくてもいい。それぞれのままでみんなが一緒に舞台にいる、その姿が鮮やかに胸に残る。
木村友祐(小説家)
ドキドキ、ハラハラするドキュメンタリーである。ウツや統合失調症などの精神疾患の体験を「自らの言葉、声、体」に紡ぎ、あらたな舞台に立とうとする人びとの群像に胸の鼓動がおさまらない。未知の世界に向けてたじろぎながら、変化していく姿に感動する。人間の希望である。被写体としての彼らがカメラレンズを通して観る側の心の網膜に焼きついてくるからだろう。前作『不安の正体 精神障害者グループホームと地域』を通過し、この作品にチャレンジする飯田監督自身の変容もまた滲みでている。ドキュメンタリー映画の根底的なおもしろさを具現化した快作である。
小林 茂(映画監督)
なんで涙が出るんだろう。「棒になる足を休めさせてくれた♪ワクワクドキドキ♪」唄うトモキチもえっちゃんもみんな可愛い、いとおしい。一人一人の痛みの記憶が光をあびて表わされ解放されていく。
「弱者」なんかじゃない。「よわさ」は罪ではない。鋭さであり優しさであり豊かさだ。その高らかな解放の声に、私の中の内なる「わたし」が共鳴し癒されていく。そうして思い出し、心が悦び泣きだすのだろう。「私は『わたし』のままでいい」のだと。
北村年子(ノンフィクション作家)
1回の上映の上映基本料金 30,000円(税込)
入場者数が50名を超えた場合、1名あたり400円の追加をお願いしております。
例:入場者数75名の場合
30,000円+25人×400円=40,000円のお支払となります。
上映用の素材は、DVD/ブルーレイディスクの2種類をご用意しております。会場の設備に合わせてお選び下さい。
映像グループ ローポジション(担当:飯田) E-mail:info@lowposi.com
いまのところDVDは発売しておりません。今後は未定です。
いまのところオンデマンド配信はしておりません。今後は未定です。
可能です。詳しくはメールにてお問い合わせください。
上映会の主催者様には映画のチラシデータを無償でご提供いたします。
そこに上映の日時や場所等、必要事項を加筆して印刷に出してください。
ドキュメンタリー映画 わたしを演じる私たち 飯田基晴監督
映像グループ ローポジション
TEL:045-716-6951 Email:info@lowposi.com