『ホームレス』と出会う子どもたち

① 会の設立時から目標だったDVD製作


「ホームレス問題の授業づくり全国ネット」は、ホームレス問題に取りくんできた支援者、ジャーナリスト、教員等が集まり、2008年に発足しました。子ども・若者たちによる野宿者への襲撃事件が全国で頻発しています。しかし教育現場での取り組みはなかなか進んでいません。団体設立時から、ホームレス問題の授業を広げていくために、映像教材となるDVDを製作したいという声が上がっていました。

しかし設立からまだ日が浅く、DVDの製作資金がなかったため、会の呼びかけ人の一人でもある私のほうで、助成金を調べ、企画書・申請書類を作成し、製作費を工面することから始めました。

② 製作資金の確保からスタート

 
半年ほどの間に3団体に申請し、2団体(社会福祉事業研究開発基金およびカリタスジャパン)から助成金を得ることができました。まだ立ち上げ間もない時期でしたが、メンバーそれぞれが長らくこの活動に取り組んできた実績を認めて頂けたのだと思います。

2009年1月より、主に大阪・釜ヶ崎にある児童館「こどもの里」で行われているこども夜回りを撮影しました。取材・撮影・編集は関西在住の映像製作者・神吉良輔さんにお願いし、私はプロデューサーとしてバックアップしました。完成までに半年以上を費やし、何度も試写や議論を重ねましたが、おかげで充実した内容の作品になったと感じています。


③ 当初の期待以上の広がり


DVDは2009年11月に発売し、全国の教育現場等で3000枚以上が活用されています。当初の期待以上の広がりです。DVDの販売収益は、団体の活動を支える主な収入源となっています。

ホームレス問題の授業づくり全国ネット・代表理事である北村年子さんは、以下のような手応えを感じてくれています。

 

「小中学校、高校大学、専門学校、さらに教職員研修でも大いに活用されています。DVDを観た中学一年生は感想に、『私はホームレスの人は怖い、汚い、なまけてる人だと思ってました。でもこのDVDを観て、生きるために段ボールや缶を集めて頑張っている事を知って助けてあげたいと思いました』と記しています。アンケート調査をしたところ、DVDを観て野宿者への偏見・差別意識が、共感・理解へと「見方がかわった」と答えた児童・生徒が8~9割にのぼります。映像の力による教育の成果の絶大さを実感しています。」

④ 製作資金の調達から発表・販売のサポートまで

 

ローポジションではこれ以外にも、芸術文化振興基金や横浜市芸術文化振興財団、ヨコハマアートサイトの助成金を獲得して、映画製作や上映活動を行ってきました。

このように社会的な意義のある映像作品の製作に関しては、助成金の活用も考えられます。申請段階からご相談を頂ければ、企画や申請の内容についてアドバイスさせて頂くことも可能です。

また映像作品の発表や販売に関しても、これまでの様々な経験を生かしてご協力いたします。